2011年1月8日土曜日

COE とかポスドクとか

TA/RA の話の続きであるが,こと,留学生が関係すると役所はまた変なことをする。COE (Center of Excellence) という新しい企画を募集した。これも米国のうわべだけの真似である。そして,留学生をたくさん採る,彼らの勉強も支える,出張も負担する。COE 企画を獲得することが各大学の競争的使命になっており,それを取った部署は留学生集めや対応で研究どころではない(本末転倒)といった状況もあったやに聞く。米国のそれは特に留学生に限ったことではなかったと思う。僕のかつてのボスが UCSD でやったのが初期のころの COE だったと思うのだが。
さらに授業料免除についても,本当にお金に困っている日本人学生に十分には行き渡らない(と言われている)ばかりか,ある割合で留学生に当てている。今年度改訂が行われるようだが,その実施案でもある割合で留学生を支援するようだ。留学生増を打ち出している役所自体が,それを積極的に支援する経済的・人的事業をしているわけでは全くない。日本人のそれを各大学が割いて充てているに過ぎないし,事務職員はいまだに英語は全くしゃべれない。教員が,各種申請書を書いてやり,事務手続きを助けてやり・・・である。そうそう,PhD なんて資格で赴任するといくつかの証明書を和訳させられる。おまけに留学先からの赴任旅費なんて出す気が無い。文科省は英語の書類は受け付けない。文科省の役人さんは英語がわからないらしい。
掛け声だけで実質的な特に経済的な支援をしないのが役所の基本的なやり方のように見える。同じようなものに大学院重点化がある。役所の役人さんは,先生達が望んだからそうしたと言うが,役所からプレッシャを受ける大学機関側の事情は思い図ってはくれない。札びらを見せて競走させるのだ。そして博士課程の充足率でまたプレッシャをかけるが,TA や RA の経済的手当てをしてくれるわけではないのは前に書いたとおりである。しかしそれはまだ何とかなる。ひどいのは,充足率アップのためにおだてられて博士課程を修了したいわゆるポスドクに職が無い。また社会人ドクターの研究が学位取得後画期的に進んだという噂も聞かない。前者のポスドクは契約制で研究機関に居候させてもらっているのが実態らしく,いつぞや TV のニュースでも出た。まるで人材派遣を大学が無責任にやっている図式そのものだ。法科大学院だけが問題なのではない。昔は,博士に行くのは仕事につけないかもしれないという覚悟付きだったが,重点化させたんだからもっと役所は責任を・・・なんとか・・・