2010年10月30日土曜日

米軍の研究支援

標記が問題視されているようだ。特に基礎研究の場合外部資金を求める先はたくさんはない。戦争は否定するが,それが技術開発のドライビング・フォースになったのは事実だ。安全安心快適便利社会への貢献のための競争で技術開発をしている分野が土木だ。競争もお金(適切な)であり,そのお金(それなりの)がインセンティブになっているのかもしれないが,今のインフラはそうやって造られてきたし,これからも造られていく。そしていいものができていく。しかし,土木も含めて基礎研究となると国の補助金くらいしか支援はないだろう。しかし不思議なことに役所が「流行」を意識する(他省庁の標語等にそのまま乗っかる)ので,成果がいつ出るかわからない基礎研究はほとんど見捨てられる。基礎研究者のドライビング・フォースは,不思議を解明したいという純粋な探究心だろう。ま,誰も金は出さないやね。実は友人が米軍の研究費関係の仕事をしている。彼の話では,基礎研究だろうが何だろうが,申請があれば審査して支援するそうだ。成果はあくまでも学問的なものになるというような印象を持ったが・・・
僕が PhD をやったときにはボスが授業料と生活費をくれた。今さかのぼって出版した論文の謝辞を見ると,NSF 以外は米陸軍と NASA だ。僕が参加した研究が,明日陸軍が使える技術に転換できるとは思えないが,米軍というのはそういう文化のようだ。その文化もあって日本の研究支援をしているのであろう。上述の友人の話の印象もそうだった。というわけで,役所が支援もしてくれない研究に金を出してくれる米軍の支援を受けることは,仕方が無いだろう。某協会もぐちゃぐちゃ言わないで積極的になってもいいのでは。もし役所なり協会やマスコミが問題視するのであれば,それに代わる手当てをまずその人たちがすべきだろう。
ある学内の仕事でご一緒した他学部の先生が面白いことをおっしゃった。ちょっと演出・誇張して書いておこう。「あの役所の役人さんは能力が低いので,企画の大枠を作る時に T 大の懇意な先生(昔は御用学者と呼ばれていた範疇を含むのかな)から内々に提案をもらい,それを含む企画を打ち上げる。その先生がまずは採択されて,残った金を審査員がばらまいているんだな,きっと。」面白い推測・観察である。ところでその T 大は,米軍からの支援を受けないという決議がなされていると聞く。きっとうるさい教員がいるんだろうが,実際必要が無いというのが本音か。