2010年10月22日金曜日

大学は学力で選ぶ

入学した学生に学科選択の理由を聞くとほとんどすべてが「将来の就職」との関係だ。では大学をどのようにして選んだかというと,多分半分以上が,自分の高校のときの学力レベルだ。大学入試センターという天下り先(理事の一人は多分:現理事長は某大元総長:大学ももちろん天下り先だが)がある。そこで実施した試験の結果は自己採点という方法で予備校が把握し,予備校生の過去の合格状況を元に,各大学の A, B ライン等が公開されている。自己採点が何点かがわかると,どの大学にどのくらいの確率で合格するかが志願前にわかる仕組になっている。大学入試センターがやっていないという「大学の序列化」が,かなり正確な確率的な数値で実現されている。大学毎に実施している二次試験成績と,センター試験成績の相関はほとんど無いと感じている。センターがやっていないという「資格試験」としてしか,そのセンター試験は利用されていない。本人の潜在的能力はセンター試験では測定できていない。
さて,喜ばしいことに日本の大学出身者にもまたノーベル賞が授けられた。彼らの出身大学が,それをきっかけに志願者を増やそうとしている,と新聞は書く。しかし,上述のように,外向きにはなれない若者,草食系の若者は,僕同様の高い安全率を確保するため,そんなことでは志望先を変更することはできないのが現状だろう。大学の名声が上がることで変化するのは,高校の優良成績者の志願先だ。だから,短期的には志望倍率が変化して合格者の成績は上がるとしても,それは成績中庸者の合格・不合格の確率が変化するだけで,長期的には志願倍率は元にもどるだけだ。そのとき,一時的に上がった合格者の成績がいつまで維持できるかが大学としては問題である。が,しょせんセンター試験成績と学生の潜在的能力にはほとんど相関が無い以上,「いい?」人材が増えるかどうかは疑問である。期待できる平均的ラインは,受験動機が就職から学問に向くことではないだろうか。それ以上を期待しても無理だし無駄だ。昨今の高校生の志望動機を踏まえると,センター試験の存在はむなしい気持ちしかもたらしていない。