2014年12月7日日曜日

全入時代に向けての教育法講習会

    そういう講習会があるらしい。大学が学生に迎合してどうする。と,あと 2 年で辞める人間は,捨て台詞風の正論を述べておこうかなぁー。
    僕の時代の理系学生にとって 1 年生の数学はとんでもない講義だっただろう。例のεδである。しかし,あとで試験や問題を読むと,なんてことがないことがわかる。微分方程式や多重積分はそもそも何をやっているかわからなかった。3 週くらいして先生が「僕は多重積分を教えているのだがわかってますか」とおっしゃった。そうだったのか。物理学も最悪だった。高校で習ってない微分方程式を使う。ベクトルが出てくる。∇なんて記号や grad とか div とか,意味もわからない。解けない。が,大学院に入るころには,答が出せないまでも,何をやっていたかがうっすらとわかる。そのくらいは自分の脳みそに仕事をやらせないと身に付かないこともわかった。
    ところがである。今の学生さんは,わからないのは教員がダメだからだそうである。高校までの成績がいい学生さんが,大学に入って突然何をやっているかわからない。自分は頭がいいのだから,授業中にわからないのは講義そのものがダメだという価値観である。配った文章を読まない。答に直結する箇条書きが欲しいらしい。ネット上の鬼仏表にある僕の「情報基礎」の書き込みを見ていただければ,ダメな学生さんのことが推測できる。この講義では「自分が何をできないか,何がわからないか」がわかればいいので,宿題回答が正解でなくても単位はやると最初に宣言してある。しかし,わからないのは教員が悪いのだから,友達のをコピペして宿題に対応しても構わないという論理(倫理?)になるのである。これに迎合する授業をして,卒論が書けるのか。何か真っ白なところに自分のアイデアを書き込む能力が身に付くのか。彼らのほぼ 100%は秀才・天才ではないんだよねぇ。