2012年1月14日土曜日

ユーザーズマニュアル

僕は博士のときの指導教員に,マニュアルの作り方がうまいと褒められたことがある。そこに後ほどいらっしゃったポスドクからも同様のお褒めをいただいた。ま,自慢である。
マニュアルや製品というのは,それを使う人になり切って作らなければならない。しかしよく言われるように,特にコンピュータの取り扱い説明書は難解だ。しかも最近はそれが紙ではなくコンピュータに内臓してあるので,何か必要なことを探すことすら困難な場合が多い。検索機能があっても,結果がたくさん有り過ぎて,どれが必要なのかわかり難いのだ。やはり紙の情報で,ある目的毎に章節建てがあって,類似する複数箇所で同一の対処法が重複して説明されているのに加えて,不足の無い索引が必須だ。
製品の例で,また悪口を書くと,建築物だ。本学工学部の昨今の建築物は,正直言うと,みてくれ「だけ」を追究し,使う人の希望を無視したものが多い。我々の実験室はそこそこうまく行ったが,これは設計事務所がよかったことと,僕が怒りまくったこと(呵呵)があると思う。設計者だけが悪いわけではなく,発注者がきちんとした意思を表明できていないことが多い。遠慮は禁物だ。どしどし文句を言って聞いてくれる設計事務所でない限りうまくいかない。本学工学部食堂も,結局は発注者が明確な反対を表明しなかったのではないか,生協が大学より地位が低いこともあって強いことが言えない,などの原因がある。しかしである。地震で壊れた研究棟の改築にあたっては,そこを使う我々が欲しくないものを強要してきて,あちこちで困っている。建築家は,使う人になり切ることができない人が多いようだ。