2011年5月7日土曜日

技術と科学は確かに違う

5/5 の NHK 9 時のニュースで,原発事故に関係して科学はどうあるべきか? ということで,ノーベル賞をとった野依教授がインタビューされていたが,ほとんど意味の無い内容だった。無駄な番組であった。やはり理学屋さんは,ものごとを理想化したがるのか。原発を無くすことを前提にするなら問題は簡単である。科学と技術が違うという点は昨今は自明なこととして認知され,従来「科学技術」と記していた言葉を今は「科学・技術」としている。発言中,そこは理解されていたようだが・・・
問題は,原発を維持することを前提にしたときに,今回の事故から何が学べて,技術開発者,つまり工学者は何をすべきかということだろう。科学者,つまり理学者にはちょっと荷の重い質問だ。設定した安全率(破壊確率)で構造を設計した場合,その安全率を超えたことが発生したときに,どういう性能を構造に要求して第二第三のデザインを「どのようなレベルまで」すべきかということが今回の問題だ。極端なことでわかり易く言い換えると,テロが発生したからといって高層ビルの対航空機安全性を要求するだろうか。爆弾による被害がフロアを越えて伝播しないようなデザインを要求するのだろうか。そういうことではないのか。ちょっと極端だが,野依氏の発言はこの極端な例では「テロを無くせばいい」と言ったに過ぎない。