2011年8月6日土曜日

壊れる椅子のある風景

建築家という人たちは,何を目的にして建物や家具を設計しているのだろう・・・という風景がうちの大学にはある。
工学部の食堂周辺が改築された。食堂は広くなったように思うが,座席数は少なくなったようでもあり,効率が悪くなったのだけは間違いがない。一番ストレスを持ってはいけない施設,廉かろうまずかろうではあっても食べる場所,そこで毎日ストレスが溜まっている昨今である。その中に,サンドゥイッチをサービスするスペースがある。先日混雑していたので,学生さんとそのスペースに座った。
すると! である。机の上にメモが置いてあるのだ。『椅子と机を引きずらないでください。足が壊れます。』とある。食堂が竣工して什器が運び込まれた初日から,普通に使用して(引きずらない机や椅子がどこにあるのだろう)壊れる可能性のある設計がなされているのだ。何とも不思議な空間・風景である。見てくれを第一にしたのだろうか。予算が無くなったので仕方なく納品させたのだろうか。実は,その他のスペースにある机にも問題がある。食堂を大人数で効率的に使うには,同規格品を整然と並べるのが最良だと信じているのだが,ここには何種類もの異なる大きさと形の机が雑然と並べてある。あくまでも見てくれ重視だ。正方形で一辺に二人座れる「長さ」にはなっている(形だけからは八人座れる)ものの,食事を載せたトレーを机に置こうとすると,六つしか載らないのである。そして机の中央には何も載ってない意味の無いスペースが残る。うぅーむ,不思議だ。
で,先の壊れる椅子や机を皆さん引きずらないのかと見ていると,ほぼ全員が引きずっている。しかも床の材質との関係でその音がものすごいのだ。グループが着席・起立するたびに 10 秒ほど,会話が聞きづらくなる。うぅーむ,建築家という生物は不思議だ。