2015年10月31日土曜日

大学院は教育の場ではないのか

    またぞろ米国の猿真似の科目ナンバリング(大学院は【専門記号+目的分類+科目番号】らしい)が始まったのだが,修士課程科目で次のような目的分類をするという。
  1. 研究課題の本質を理解し探究できる幅広い基礎知識と基礎学力
  2. 専門分野に関する深い知識
  3. 専門分野に関連した学際的知識
  4. 異なる専門分野の知識の統合によるシステム設計能力
  5. 研究の設定課題と課題解決能力
  6. 研究の高度な実践能力と応用展開能力
  7. 研究の遂行に必要な語学力
  8. 研究指導または技術指導のための基本的能力
現状で二番目と四番目は無理。修士教育はまだまだ基礎教育である。さらに五番目以降は,工学系専門教育課程で実施できる内容ではない。執行部あるいは役所は何か勘違いしていないか。
    博士課程科目ではさらに以下のようである。
  1. 社会的要請を踏まえた俯瞰的視野に立って研究課題を開拓し,研究を実践する能力
  2. 独自の発想による課題解決能力
  3. 他分野に応用できる思考能力
  4. 国際学会等で発表するに十分な語学力・論文執筆能力・ディベート力・コミュニケーション能力
  5. 研究指導を行う能力
  6. 研究またはプロジェクトをマネジメントする基本的能力
米国でも博士課程はまだまだ基礎の教育現場である。少なくとも最初の一年はきっちりした講義を受ける。学生さんが自ら努力する目標として一番目と二番目は必要かもしれないが,ほぼすべて工学系専門教育課程でそこの教員が教育できる範疇には入らない。わが国の大学院重点化というのは,やはり間違った概念だったのではないか。そもそも,これが教育できる教員がいるのか。僕の周りにはいないよ。
    もひとつ面白いことがある。本専攻の個々の科目のナンバリング末尾の科目番号は便覧にある表の上からの順番である。呵呵,なんじゃそりゃ。ナンバリングの意義を理解していないのではないか。学部はどうなるんだろう。少なくとも【専門記号+目的分類+科目番号】じゃ意味がなさそうだが,きっとそうなっているんだろぉなぁ。【専門記号+必須選択別+小分野記号+提供形態別記号+科目番号】くらいは必要だとは思うのだが。どうなることやら。