2011年10月2日日曜日

異なっていることと変化させること

学生さんがレポートや卒論によく書く「気色の悪い」言葉がある。「変化」だ。例えば,ある材料が示すある特性が,その材料の強さによって違っているようなときに,学生さんは「材料の強さを変化させて,その材料の特性の変化を調べる」と書くのだ。いや,変化させる必要は無いのだ。強さの異なるいくつかの材料の特性を調べればいいだけである。元々,その材料を買ってきて,その強さを変化させるなんてことができるわけではない。動作が伴う動詞を,動作できない対象に使うのだ。困った。正しくは「異なる強さを持つ材料が示す特性の違いを調べる」はずだ。「異なる」「違い」「差」すべてが「変化」と読みかえられることが多い。生放送とはいえ,昨夜の TV でも偶々「二人の 100 m 走の記録には変わりがないから・・・」トホホ。
もう一つある。「評価」だ。秋田大の後藤文彦さんがこのあたりをどこかに書いていたような気もするが,たいていの学生さんは「評価=いいものとして認める」という意味で使っている。例えば「**というモデルを用いて予測される温度変化は概ね昨年の実測値と一致することから,このモデルは評価できる。」と書くのだ。「どう評価されるの」かはわからない。きっと彼らには「低い評価」という概念は無いのだろう。なぜだろう。こんな卒論は「低くしか評価」できないのであるが・・・日本語はやっぱ難しい。困った。