2011年9月17日土曜日

学力を下げ理解を遅らせるスライド利用

大学院の講義室のマーカーが薄くなったのだが,僕以外は使ってないらしいことが判明した。私費で買って使っている。多分,ほぼ全員がスライドを使っているのだろう。しかし FD (faculty development: またぞろアメリカの真似でかつ英語)でも,スライドは使うなと指導されていたはずなんだが。学生にとってスクリーン上での講義は辛い。もらうのもスライドのコピーだ。紙面にはキーワードしかなく,数日すると何が目的なのかもわからなくなる。やはり,頭をちょっとだけ使いながら「写す」という行為には,脳の活性化と記憶という信号発信が含まれているのだろう。学生は板書は写すが,しゃべったことをメモする習慣はまだ身に付けてない。スライドはやめるべきだ。
さてそのスライドだが,皆さん某社のソフトの名称をお使いになる。決して「スライドのファイル」とは呼ばない。しかも僕の嫌いな短縮「パワポ」だ。あとたったの 3 音節 4 文字「ーイント」(英語的発音すればそもそも 2 音節?)なのだが。禁煙グッズか筋力トレーニンググッズみたいだ。
またそのスライドには(特に学生の場合)意味の無い・存在の必要が無い画像があって,それも,違う人が全く同じ画像を使う。意味が無いから使う必要はないし,個性は全く感じられない。グラフはカラーだが,線が細くて黄色や緑の線は無いのと同じだ。学会発表で見るスライドにも,こういった自己満足は少なくない。それから面白いことに,ポインタあるいは差し棒をスクリーン上の該当箇所に当てない発表が主流だ。いま,何をしゃべってるの? 画面にあるキーワードを一言も発しない。ポインタはスクリーン上をくるくる回っている。君は何が言いたいの? もう発表やめたら? 聞いているのが苦痛だ。