さて大学は文科省から圧力を受けていて,博士課程学生の充足率を上げるように言われている。しかし博士様たちには就職先があまり無い。この役所の人達は足し算と引き算ができないのではないだろうか。入れたら出てくる。心太突きみたいな組織が学校だ。ただ特に最近の大学は,入り口には抵抗は無い(全入)が出口にはある程度の抵抗がある(足りないとされているが)が,その抵抗の原因はたいていは学生本人だ。しかし大学院博士課程の場合,出口がもっと詰まっているってことを役所は知らないかあるいは見ないようだ。これは本人たちには原因はあまりない。行き先が無いのである。だから賢い学生さんであればあるほど,よほど覚悟を持って教育・研究に興味が無い限り,修士で就職する。こちらも博士課程まで行くような指導は積極的にはできないのが現状だ。
で,大学はこの圧力を,社会人とか留学生で霧消しようとせざるを得ない。否,しなくてもいいのだが,させられている。僕はしていない。そんなに付き合いが広くないし,社会人が飛びつくテーマでもない(基礎力学)し,留学生と英語をしゃべるのはもう疲れたし嫌だ。そして社会人博士の審査会の内容は低調だ。そりゃそうだろう。3 年やそこらでは研究というレベル(学問としての)にまではなかなか上げられない。留学生も一部はレベルを下げざるを得ないとも聞こえてくる。税金でなぜ留学生を育てなければならんのだろうねぇ。論文をたくさん出せだの,博士をたくさん出せだの,思慮の無い圧力しか大学には存在していない。そして,大学人も「論文・論文」と念仏を唱えている。どこかおかしい。