2022年4月19日火曜日

インターンシップと就活

 大学側はまた譲歩したのだろうか。インターンシップというのはそもそも就活とは独立させるべきものだ。だって大学の教育上のシステムだからだ。大学は就職予備校じゃないからだ。土木系の学科は,もう 50 年以上前から,多くの大学で「学外実習」という必修あるいはそれに準じた科目で単位を与えていた。一ヶ月以上 3 年生の夏休みに,ある一社あるいは一自治体等で仕事をする。それは大学の座学の内容と,現場の現実との間のギャップを経験することと,本来の仕事への意欲を高めるためだと僕は思っている。企業側もそういう立場で受け入れていて,あまりにも真面目に実習をやらせようとして逃亡した学生もいたくらいだ。しかも,その後,多くの学科がインターンシップという名称で同じようなことを始めたあとも,土木系のインターンシップは一ヶ月以上という条件と,就活とは無関係という事情を企業側も汲んでもらっていた。大学を通さないインターンシップへの参加は原則認めないし,実施しても単位は与えてこなかった。
 ところが今回,5 日以上なら就活のときの企業側の情報として利用できるとする。これを大学も認めた。すると学生は,もう就活としてしかインターンシップを捉えず,夏休みに数社で経験しようとする。そしてそこではお行儀よくするわけだ。もちろん,今までもインターンシップ先で気に入られてその企業に採用された学生もほんの少しはいるが,それは仕事を一ヶ月やらせた結果だ。就活ではなくその学生の本質を観察して求人をしてくれていたと信じているのだが。もはや大学は,就職予備校なのか。