中島恵さんというエキスパート(Yahoo ニュースより)の価値観では,「博士課程への進学を促す目的」だった制度(暗黙のうちに「日本人学生の進学を促す」としている)の予算を留学生の特に中国人に給付することは怪しからんということらしい。しかし,その制度を継続しても日本人進学者は増えなかった。その改善策が留学生の締め出しなのか。そもそも日本人がもらえなかったのは,研究レベルの審査で留学生の実力よりも足りなかったからじゃないのか。日本人なら,たいした研究ではなくても配分しないといけないのか。また,日本人進学者数が増えない原因はそもそもそういう支援が少なかったからじゃないのではないか,別に原因があったんじゃないかという考え方はできないのだろうか。今回の文科省がやっていることは,トランプ大統領が何か誤解をして留学生を締め出そうとした(最終的にどうなるかはまだ見えないが,ほぼ元に戻りそうな勢いだ)のと同じにしか見えない。
さて,博士課程に留学生が 3 年間いて 3 編の研究論文を指導教員と一緒に出版した場合,その業績は,まずは指導教員のものと考えるのが我々大学人の常識なんだが,世間はそうは考えないのだろうか。不思議だ。その 3 編の成果を出すために,僅かな研究費は出すが生活費や授業料は自腹でやれというのが文科省の考え方だ。そう考えると,僕たちのように米国の NSF, NASA, 陸軍などの予算で毎年のように論文を出した結果 PhD の学位を得たり,共同研究者として米国の先生の予算で研究論文を出版できたのは,とても幸せだったと思わないといけない。米国の懐の広さに感謝。