内田樹氏の随筆を読んでいて,labor と business の違いと学生アルバイトについての記述があった。昨今の学生さんの居酒屋等でのアルバイトは,僕らがやった家庭教師やコンサルタントでのそれとは違っていて,何が違うだろうと悩んでいたが,内田先生が言うように,確かに labor という言葉がぴったりかもしれない。
では,彼らにとって何が楽しみかというと,決して勉強じゃない。僕は少しだが勉強は楽しかった。先日某学会全国大会講演会が本学キャンパスで行われたため,どこでもやっているように学生さんに時計係等のアルバイトをしてもらった。受付や裏方はすべて教員および役所や民間会社の職員・社員のタダ働きである。学生さんには日当が出る。さてこの学会,4月には開催が決まっているが,アルバイトを三日間続けてやることができる学生さんは半分くらいだ。彼らは,自分達が勉強している内容が発表される講演会に金をもらった参加できて,自分の知識を広げられるという機会を積極的に利用する意欲は元から無いわけだ。何が楽しくて勉強して,何を楽しむために就職しようとしているのかわからん。自費ででも参加したいと努力するのが学生さんの本分だと思うのであるがねぇ。ま,専門書は買わない,教科書も買わない彼らだ。アルバイトは勉強のためではないようだ。
学生のころ,ちょっと遠い土地の海外演奏家によるコンサートに行ったときに某大音楽学科教授と久しぶりに会った。怖い先生だよ。そして彼女の学生も聴きにきていた。その教授曰く「えらい!自費で参加だがよ,彼女は」。と,これが学生の本来の姿だ・・・とか「べき」を持つのはアンガー・マネジメントの観点からは最もやるべきことではないそうだが,そんな社会は要らない。