2015年10月10日土曜日

全く役に立たない研究

    彼は控えめに述べたが実際は「全く」役に立たない研究だ。医学生理学の方の研究分野とは全く異なる。僕らは高校等でクォークは習ってない。多分ニュートリノも。電子は確定的な軌道を回っていた。その後,現代物理は勉強していない。聞きかじりに基づくが,もっとマスコミがアピールして欲しいこともある。
    カミオカンデはそもそもニュートリノのためじゃなかっただろう。大統一理論という,重力・電磁力・強い相互作用・弱い相互作用が同じものであるという理論の証明のための実験,つまり陽子崩壊を観察するのが第一目的だったと聞いたような気がする。陽子の半減期は例えば数千年くらい(嘘)長いので観察は困難だが,陽子を数万個溜めておけば,そのうち一個くらいは崩壊するだろうというのがあの大水槽だと聞いた。水つまり水素にも酸素にも陽子が入っているし安いし。小柴さんの概算要求にも,ニュートリノのことは「ひょっとしたらそれもわかるかも」と 2 行くらい書かれていただけだったということも,TV で見た覚えがある。
    失敗に次ぐ失敗,副産物,そういったものが大発見につながる例は無数にあると思う。しかし棚から牡丹餅(おっとこの季節はおはぎだ)は絶対にあり得ない。serendipity であり,`Chance favors the prepared mind!' である。四六時中,あぁーだこぉーだと没頭すること無しには,何も訪れない。そこんところを最近の学生さんも教員もわかってないのではないか。B/C 理論は教育の場では成立しない。教養教育は工学教育に本当に無駄か? 僕はそうは思わない。工学部の学生にもニュートリノや大統一理論を教えたらどうか。重力が一番訳のわからない力であることも教えたらどうか。