一般の人の多くは mm がメートルの千分の一という記号だなんて思ってもいないだろう。km がメートルの千倍というのも同様だ。それぞれが独立した単位だと思っているのが普通ではないだろうか。かく書く僕も mm の最初の m が接頭記号だと気付いたのは大学生になってからだったと思う。僕らが子供のころは ml は cc だったような気もする。それが千分の一の ml だと教えられても,ml も cc と同様の独立した単位だった。わざわざミリと読んでいるのに,それが千分の一だということを覚えないといけなかった。そして ml の m と mm の m が同じだなんて,ちっとも知らなかった。
今回の大地震後の原子力発電所周りの環境評価数値に,最初,マイクロシーベルトが使われた。そもそも絶対値は素人には意味の無い数字だから,最初に用いたこの単位を使い続けて素人が相対比較できるというのが,政府なりマスコミの義務である。途中からミリシーベルトを使ったのは大きな間違いだ。マスコミのスタッフすら間違う。つまり 2 ミリシーベルトであれば,2000 マイクロシーベルトという数値にして,全国民が「あ,そうか。昨日のあの数値の*倍なんだ」と実感できるべきではなかったか。商品によく使われる 1000 mg のような「ごまかし」を政府なり東京電力側に大いに感じる。これまでも情報を開示しようとしなかった会社の言うことだから,きっとそういう意図があってわざとそうしたのだろう。それに乗せられた政府も政府だ。頭が悪い。誰に情報を発信するかがシミュレーションできていない。会社の発表をそのまま読んだだけ。
商品の場合はたくさん入っているように見せなければならないから小さい単位を使う。まずいものは隠すために大きい単位を使うのだ。そういう意図が見え隠れする電力会社の対応だし,劣悪な政府の態度だった。やはり,いまだに無政府状態にあるとしか思えない。しかも,東京電力を擁護しながら,消防隊員を恫喝するような政治家すらいるわけだ。もうどうしようもない。