2025年4月19日土曜日

博士課程後期 3 年の課程の学生支援

 年間 290万円。科研費が 100万円だとすると,生活費月 15万円。これを留学生がもらうことに異議が出たらしい。朝〇新聞の記事を使うと,『3月の国会質疑で、有村治子参院議員(自民)が「国民生活が厳しさを増す中、日本の学生を支援する原則を明確に打ち出さなければ理解が得られない」と指摘』したそうだ。本当にそうか。学問には国境は無い。そもそも日本人の修士課程の学生が博士課程に進学しないのは,金だけが理由なのか。現場での印象では,最も進学を妨げているのは就職困難なこと。民間は博士を採用したがらない。30 歳に高い人件費を払って現場教育するより,22 歳に実施した方がはるかにコストパフォーマンスが高い。また大学や研究所には,増えた博士を採用する枠は増えていないから,ポスドク問題が顕著になったり,有期雇用の雇止め問題が生じている。有村女史はこれをどう考えているんだろう。それを踏まえると,優秀な留学生に研究成果を出してもらって(これは日本の指導教員の研究成果として評価される),学位取得後には帰国してもらった方がよほど合理的ではないだろうか。僕自身,米国の国の予算で学位をもらっていたし,当時は留学生が半分くらいはいた。留学先の研究費はすべて教員が負担し,個々の学生の生活費はおよそ 6 万円くらい。これは当時の日本の博士課程学生が生活できるレベルだ。そして当時の日本の大卒初任給が 10万円くらいに対して 60%。昨今の初任給は20万円くらいだから,15万円というのは充分過ぎるかもしれないし,研究費は指導教員も持っているから二重に支援していることにもなるが。