2022年7月7日木曜日

選挙が近づきました

となると,教育を論じる議員が増えるってわけだ。大学無償化・大学院無償化。そんなに簡単なことなのだろうか。苅谷先生の昔の報告にあるように,小学校くらいから塾や家庭教師にお金を使える家庭の子供が旧帝大等の入試で合格するらしい。大学を無償化しても,この格差は無くならない。米国の大学で東大よりも世界ランキングで上位の大学の学部学生は授業料免除を受けるどころか,学生で大学とローンを組むのが常識らしい。大学無償化とは無縁の米国で,効果的な大学教育が実施されていることになる。大学院無償化の財源は何か。米国の博士課程の学生で RA に採用されれば,事実上生活費を含んだ大学院教育の無償化だが,それは指導教員の研究費で賄われている。日本の教員が得る外部資金で学生の授業料と生活費を払うことは,いまのところできない。こういう単純な比較をしただけでも,大学無償化・大学院無償化が日本の教育や研究を向上させる何か画期的な方策ではないことがわかる。しかも,博士課程修了者の就職先は狭き門のままだ。国会議員がそこまで教育に熱心だとは思ってはいないが,それにしても,効果の無いことを選挙公約に書いても意味が無いと思うのだが。